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Xの系譜 [Sony・Handycam]

既報の通り、Handycamの最高峰に位置する、3CCD-HDVビデオカメラHDR-FX1がモデルチェンジとなり、より小型になったHDR-FX7が発表されました。

デジタルHDビデオカメラレコーダー HDR-FX7

1992年9月、それまで1つのCCDだけでR・G・B光の三原色全てを読み取る、「1CCD」方式しかなかった家庭用ビデオカメラの世界に、プロ用ビデオカメラと同じ、R・G・B各色専用のCCDを使う「3CCD」方式を採用したビデオカメラが登場します。

Sonyの8mmビデオカメラ、Handycam PRO CCD-VX1です。

それまでの家庭用ビデオカメラとは一線を画す驚異的な高画質に、高い評価を得たCCD-VX1ですが、所詮は8mmビデオ規格、編集するたびに映像が劣化するアナログ方式では、プロの要求に100%応えられるものではありませんでした。

それから3年後の1995年9月、アナログ記録方式だった8mmビデオ規格に変わって、デジタル記録方式のDV規格が業界で策定され、その一号機としてSonyは新たな3CCDハイエンドビデオカメラを発表します。

DIGITAL Handycam DCR-VX1000です。

3CCDによる高い色再現性と、映像劣化の少ないデジタル記録を実現したこのカメラは、家庭用ビデオカメラとしても画期的なものでしたが、最も影響を受けたのはプロのほうでした。

それまでテレビ番組製作に耐えうる画質のカメラといえば、肩に乗せたり、大きな三脚を使うという、大仰なカメラだったのですが、VX1000の登場によって、片手で持つことも可能な小型・軽量カメラが番組製作に使えるようになったのです。

結果、バラエティ番組の世界では、「電波少年」「あいのり」のような高い機動力を活かした番組が登場し、最小限のシステムで、撮影・編集が完結できることから、報道の世界では、既存のマスコミに縛られないインディペンデントな活動をする、ビデオジャーナリストなども出現します。

さらにVX1000は映画の世界にも進出し、あの“エヴァンゲリオン”の庵野監督が、初めて実写映画に挑戦した“ラブ&ポップ”は、このVX1000で撮影されています。

ラブ&ポップ SR版

ラブ&ポップ SR版

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2003/07/24
  • メディア: DVD

こうしてDVカメラ一号機にして、家庭用ビデオカメラの歴史に燦然と輝く超名機となったDCR-VX1000は、2000年5月にDCR-VX2000にバトンタッチ。家庭用から業務・放送用までカバーするHandycamの最高峰として、その地位をさらに揺るぎないものとします。

2004年10月、HDV規格を採用してハイビジョンビデオカメラとなったHDR-FX1が登場し、VX1→VX1000→VX2000→FX1とHandycam “Xシリーズ”は順調に進化を遂げてきたわけですが、今回撮像素子が伝統の3CCDから3CMOSに変わるという大きな転換点を迎え、より小型化したHDR-FX7となったわけです。

では、その“Xシリーズ”最新作HDR-FX7を見ていきましょう。

1.新開発「3クリアビッドCMOSセンサー」搭載で、更なる高画質と優れた色再現性を実現

VX1の誕生以来14年続いた「高画質機=3CCD」という図式がついに終焉を迎え、FX7は1/4インチ112万画素CMOSを3枚使用する「3CMOS」方式を採用しました。

使われるCMOS素子は、HDR-HC3などでおなじみとなった「クリアビッドCMOSセンサー」。以前お伝えしたとおり、このクリアビッドCMOSは画素を45度回転させて配列させるので、通常の格子配列よりも画素一つ一つを大きくすることが出来、最低被写体照度の向上などに効果があります。

FX7も同じCMOSのHC3の11ルクスから8ルクスに向上、VX2000の4ルクスやFX1の6ルクスには及ばないものの、こうやって少しでも画質が良くなっていくのはいいことだと思います。

CMOSを3枚使うというのはDCR-PC1000以来ですが、3CCDと一緒で各色毎に撮像素子があるのは理想的な方式。1CMOSのHVR-A1Jを使っている僕でも「単板なのに色再現性悪くないよな~」と思うぐらいなので、それが3板になったのですから、色の良さも期待できるでしょう。

2.特殊低分散ガラスを使用した光学20倍、カール ツァイス「バリオ・ゾナーT*」レンズを採用

Handycamのこのクラスでは「バリオ・ゾナーT*」はもう珍しくありませんが、今回は収差の少ない特殊低分散ガラスを使用するなど、贅沢なレンズ構成になっています。

また、電子式の手ブレ補正だったA1J(HC1)あたりと違って、レンズが動く光学手ブレ補正なので、手ブレ補正時でもより高画質なのは、このクラスの特長ですね。

FX1は35mm換算で32.5mm~390mmの光学12倍ズームでしたが、FX7は37.4mm~748mmの光学20倍ズームになっています。ちなみにHVR-A1J(=HDR-HC1)は41mm~480mmの光学12倍ズームでして、広角端41mmだとワイコン必須だと感じるので、ちょっとFX7もワイコン必須に近いものがありますね。

そのかわりワイコンは取り付け・取り外しの簡単なバヨネット方式。いちいちねじ込まなくていいのは羨ましいです。

3.小型・軽量化の実現

あまりに大柄すぎて「もはや“Handy”camじゃね~」と言われていたFX1に比べ、大幅に小型化しています。

撮影時質量も2.3Kg→1.8Kg(最大バッテリー使用時)と500gも軽量化。HVR-A1Jがマイクユニットとマイク付きで1.3Kg(最大バッテリー使用時)なので、かなり近づいてきましたね。というより「軽くて小さいプロ機」としてA1Jを買った僕の立場は…(^^;)。

4.操作性の向上および充実したマニュアル機能

“Xシリーズ”が他のHandycamと違うのは、この「マニュアル撮影機能の充実」という部分にあります。言うなれば、Cyber-shotとαの違いというか、オートでも綺麗に撮れるけれども、ちゃんと使いこなせる人なら自分好みの画作りも可能ですよ、というぐらい細かくいじれます。

・マニュアルフォーカス / ズーム

他の機種でもマニュアルでピント合わせしたり、ズームをすることは可能ですが、FX7はそれぞれが独立した操作リングを持っています。

操作リングが一個しかなくて、スイッチでピントかズームかを選択するタイプのカメラと違って、これでズームとピントを個別に操作して、ズームインと同時にピントを合わせるなんてことも出来ます。

・明るさ / アイリス調整

ズームリングの直後に明るさ/アイリスダイヤルが置かれています。

アイリスとは「絞り」のこと、これも安いタイプのHandycamだと「明るさ」の一言で済まされてしまい、絞りが勝手に動いてしまうので、ボケを活かした撮影をしたい時などで、今ひとつ自分の思った画が作れなかったりするのですが(プロ用と称しているA1Jでも!)、FX7はF1.6~F11まで24段階の絞り値が自由に選択できます。

スチルカメラだと、ボケを出すために絞りを開けて露出オーバーになってしまう時は、シャッタースピードを速めて調整しますが、FX7の場合はNDフィルターという光量全体を3段階で調整するフィルターが内蔵されています。

これとスチルカメラで言えば「フィルムやCCDのISO感度調整」にあたる、「マニュアルゲインコントロール」機能があるので、

どんなシチュエーションでも、自分の思ったとおりの画作りが出来るというわけです。ああ羨ましい…

そういえば「絞り」の話題でもう一つ。

ITmediaで小寺さんが指摘しているように、家庭用ビデオカメラは結構な高級機でも、「ひし形絞り」という四角い絞りが採用されることがほとんどとなっています。

実際僕のHVR-A1Jもひし形絞りなので、ボケた時の光の形が「ひし形」になってしまいます。

タイ・スコータイ遺跡にて撮影した仏像。ハイビジョン撮影した動画から静止画を切り出し。

後ろの光が細かくひし形になっているのがわかります。これ本当に動画で長時間見ていると、かなりいらついてくるんです。プロ用といえどもベースはHC1ですからこうなっちゃうんですね。

それがこのFX7だと円形に近い、6枚羽根の虹彩絞り。これならボケを活かした撮影も積極的に行おうという気にさせてくれます。

5.最大8時間の長時間連続撮影が可能

バッテリが持つのもそうですが、Sonyお得意のバッテリ残量が「分」で表示されるインフォリチウムこそ、ビデオ撮影に重宝します。以前Panasonicの業務用ビデオを使っていて、バッテリ残量のわかりにくさには閉口したものです。

6.3.5型ワイド大画面液晶モニター「クリアフォト液晶プラス」搭載

Cyber-shotやHDR-HC3でおなじみのクリアフォト液晶プラスがFX7にも搭載されました。これが屋外では非常に見やすいので、ビデオ撮影にもよさそうですね。さすが高級機だけあって、液晶モニターもビューファインダーも高解像度タイプとなっています。ピント合わせにはこれが重要なんだ。

7.多彩な画作りを可能にする「ピクチャープロファイル」機能

画質設定をプロファイル化して六つまで登録しておくことができる機能ですが、Panasonicのカメラにこの機能があって、フル活用してました。「映画みたいな質感のプロファイル」「いかにもビデオな画質のプロファイル」「暗いところ用に黒がつぶれにくいプロファイル」いろいろ作ってましたね。

8.なめらかなシーン遷移を自動で行える「ショットトランジション」機能

これもあらかじめ操作の始点と終点を設定して、カメラが自動でその操作をしてくれる機能ですね。FX1やA1J(HC1)にも積まれています。なめらかにズーミングできない僕の腕前とかでは、なかなか使える機能だったりします。

9.カメラ、音声レベルデータ表示

オート撮影時でも、ちゃんと絞りやゲインシャッタースピードの値が表示され、音声レベルも常時表示されるそうです。これがわかるとカメラの特性が把握しやすいので、マニュアル撮影時の自分のテクニックに応用しやすいんですよね。

10.HDMI端子搭載

FX1ユーザーが一番悔しいのはここかもしれません。これからはHDMIが標準ですね。

 

以上HDR-FX7を見て気ましたが、FX1からわずか2年で、ここまでの小型化とブラッシュアップを実現したのは驚異的です。

初起用のクリアビッド3CMOSですが、1CMOS機の経験から言えば、十分期待できる画質になると言っていいと思います。特にCMOSは原理的にスミアがなく、Sonyのは暗部階調表現がうまいので黒つぶれの少ない、はっきりとした画質が得られるでしょう。

その他の機能も含め、さすがはHandycamの最高峰。すばらしいビデオカメラに仕上がったなという印象です。

これがSonyStyleでは378,000円(バッテリ周り別売り。ただしFX1やVX2000と共通。)。ビデオカメラに40万円も払えるかい!という方がほとんどだと思いますが、先ほど申し上げたとおり、このHandycam“Xシリーズ”はカメラで言えば「α」に相当するわけで、いい画を撮りたい!自分の思うがままに映像を撮りたい!という人なら、決して高い買い物ではないと思います。

でも僕が買うかとなると、HVR-A1Jも小さくてお気に入りなんで…


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コメント 8

蔵三

詳細かつわかりやすい解説ありがとうございます。

多分 FX7 ベースのプロ機( HVR-Z7J ? )が出てくるまで「待ち」の姿勢だと思いますが、これなら期待出来そうですね。
by 蔵三 (2006-09-10 09:14) 

てんちょ

懐かしさを感じながら、熟読してしまいました。感謝!
by てんちょ (2006-09-10 19:48) 

店員佐藤

このモデルにはテレコンが用意されていないので、光学20倍に
パワーアップしたのも魅力的に見えますよね。

HDMI端子、やはり何にでもついてきましたね。これ1本で
音声出力もできるし、そろそろHDMI端子付きのテレビが
欲しくなってきます。
by 店員佐藤 (2006-09-11 00:45) 

akoustam

>蔵三さん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

HVR-Z1Jがモデルチェンジしたらヤバいですね。ほんと物欲が。でも60万はするでしょうねぇ、そんなお金は…(^^;)
by akoustam (2006-09-12 13:25) 

akoustam

>てんちょさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

僕もCCD-VX1が出たときの驚きを思い出しながら書いてました。大学の連中と「とんでもないもんが出たぞ!」と大騒ぎしたもんです。
by akoustam (2006-09-12 13:27) 

akoustam

>店員佐藤さん
コメントありがとうございます。

ちょっと望遠側よりになって20倍ズームですから、さすがにテレコン無しで運用出来るでしょうね。

HDMIは完全に必須のインターフェースになりましたね。テレビ、ビデオ、カメラ、HDMI無しは考えられないです。
by akoustam (2006-09-12 13:29) 

bebe

VX1000、VX2000、FX1と続き、今回のFX7をどうしようかと思案中で情報探して、こちらへお邪魔しました
ブログもさきほど登録したてですが、ホームページがメインなのでなかなか更新できないと思いますがよろしくお願いします
by bebe (2006-11-11 20:19) 

akoustam

>bebeさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

ブログ拝見しましたが、FX1もHC1も持たれてるんですね、羨ましい~。僕はHVR-A1Jでしばらく頑張ります。でもどこまで耐えられるか(^^;)
by akoustam (2006-11-14 02:18) 

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