So-net無料ブログ作成
検索選択

あ~あ [気になるモノ・コト]

昨日お伝えしたのは、Sonyの次世代フラットディスプレイ「有機EL」ですが、もう一つの次世代ディスプレイパネルの雄、Canonの「SED」が特許がらみで失速する懸念が出てきました。

キヤノンによるSED株式会社の完全子会社化について (Canonのプレスリリース)

この「キヤノンに対する“SED”の技術に関連する米国訴訟の長期化」という問題ですが、話は8年前の1999年にさかのぼります。

1986年から長年SEDを研究してきたCanonですが、一部の関連技術がアメリカのNano-Proprietary社が保有する特許に触れるため、1999年このN-P社とライセンス契約を結び、特許の使用を許可してもらっていました。

同じ1999年、Canonは単独では事業化できるだけのテレビ技術を持っていないことなどからパートナー探しをしており、液晶・プラズマとは違う薄型テレビ技術を模索していた東芝と利害が一致、SEDの共同開発を開始することになります。

そして実用化にある程度のめどが立った2004年10月、合弁会社SED株式会社を設立します。このSED株式会社の株式保有比率は、Canonと東芝でほぼ50:50なのですが、1株だけCanonの方が多くなるようになっています。

しかしこの合弁会社の設立が問題を巻き起こしてしまうのです。

2005年4月、N-P社は「ライセンスを許可したのはCanonだけであって、100%子会社で無いSED株式会社に技術移転するのはライセンス違反である。」と米国連邦地裁に提訴。Canonは同じ連邦地裁にSED株式会社がCanonの子会社であると認めるよう動議を出しましたが、2006年11月却下の裁定が下ります。

おそらくCanonは上訴したと思われますが、このままだと次の裁定が下るまでSED社は身動きがとれず、当初のCanon・東芝の計画が狂ってしまうので、今回SED社の東芝持ち株をCanonが買い取る形で100%子会社化することになった、というわけです。

しかしことはただ株主が変わっただけではすみません。

もともとSEDは去年の3月、当初の予定から大幅に遅れて、2007年の年末商戦に一号機を発売し、2008年の北京オリンピックに間に合うよう時期に本格量産に入る、ということになったのですが、この量産するための工場というのが東芝の姫路工場でという計画だったのです。

実際裁定が下る前の10月に開かれたFPD Internationalでも、東芝は意気揚々とSEDのデモンストレーションを行い、ロードマップはそのようになっていました。

コントラスト比10万:1の新55型「SED」がFPD展に登場-55型で消費電力270W。福間社長が基調講演 (impress AV Watch)

しかしN-P社の主張が認められた以上、Canon以外の会社でSEDを開発・生産することが出来ないので、東芝の姫路工場ではSEDの生産が出来なくなってしまったのです。

このままではCanonは量産するためには、単独で工場を立ち上げる以外に道は無く、今から新たに工場建設となると、Canonとしてもリスクは大きいし、工場ではない平塚の事業所を拡張するとなると生産能力的にきつくなりそうな気配です。それ以前にまず2008年に間に合うのかどうかも怪しいわけで…東芝は黙ってパネルがくるのを待つしかない。なんかもう、あ~あって感想しか出てきません。

SEDは画質的には素晴らしいモノがあるので、なんとか市販にこぎつけて欲しかったのですが、これで一段と予断を許さない状態になってきました。このまま日の目を見ることなく消えてしまうのか、それ以上にCanonのテレビ事業進出の悲願はまたも夢と消えてしまうのか、やはり新技術導入というのは一筋縄ではいかないもの、Canonにはここで踏ん張って欲しいところです。

そしてSonyの有機ELもこんなことにならないよう、地道に一歩ずつ頑張っていかないといけませんね。

余談ですが、このままだと東芝はどうなっちゃうんでしょう。SED関連のページはこの有様、HD DVDに続いてテレビまでこけちゃったら、AV系の事業総崩れになっちゃいますよ。ま、半分は自業自得なんで仕方ないんですが。


nice!(6)  コメント(14)  トラックバック(2) 
共通テーマ:テレビ

nice! 6

コメント 14

ぇす

SED失速が現実になってしまうとSED発売までKV-32DX850で、それまで持たそうと思ってた自分にはキツイです。
まぁ、SONYの有機ELという希望の光はあるし、SONYなら競争相手が無くても(開発に)手を抜く様な事はないと思えるのが救いですが・・・。
by ぇす (2007-01-13 09:31) 

かつぽん

その姫路工場の生産部門をCanonに貸せれば話は違うんでしょうけど、
そうは簡単に事が進まないのでしょうねぇ・・・

ホントにね、自業自得感アリアリで笑えるんですがσ(^◇^;)
by かつぽん (2007-01-13 15:24) 

ahtoh

「この有様」がとても切ないですね・・・(;´Д`A ```
このままではSEDの企画が破綻して終わりっぽいムードさえ漂って感じます。
by ahtoh (2007-01-13 20:34) 

Riever

SED、画質がどうなのか一度見てみたいのですが、思った以上に難しい状態なんですね。
Canonが果たして賭けに出るのか、そこがポイントですね。
by Riever (2007-01-13 22:34) 

simainu

はじめまして

次世代パネルはソニーのほうが有利になりましたね。
by simainu (2007-01-14 16:04) 

Virgo

秋のショーでは、必ずデモ鑑賞の会場が大変な事になってるのですが、実際はどうなんでしょうね。
by Virgo (2007-01-15 01:00) 

店員佐藤

こういう特許制度のおかげで、いろいろなものの
技術革新が阻害されているような気がしますね。
by 店員佐藤 (2007-01-15 08:05) 

akoustam

>ぇすさん
コメントありがとうございます。

有機ELが実用化されても、進化しているSXRD・液晶・プラズマも当然強力なライバルになるでしょうから、手を抜いている余裕はないでしょう。

残念ながらSEDはかなり市販が遠のいた感じがしますが…
by akoustam (2007-01-16 01:36) 

akoustam

>かつぽんさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

東芝はほぼSEDの量産市販を断念したようです。Canonは仮にパネルがうまくいっても、テレビとして出すための技術が薄いですから、新たなパートナーを探した方がいいかもしれません。

しかし東芝、これでAV事業からは撤退してコンピュータと半導体の会社になっちゃいそうですね。
by akoustam (2007-01-16 01:38) 

akoustam

>ahtohさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

まさか「閉鎖しました」とくるとはね。ほんの3ヶ月前まであれほどやるき満々だったのに…薄情な会社だなぁ。
by akoustam (2007-01-16 01:45) 

akoustam

>Rieverさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

SED、最近のバージョンは見ていませんが、昔見たバージョンでもかなりの高画質でした。原理がブラウン管と一緒ですから、発色の傾向とか見慣れた感じなんですよね。

Canonはどこかと組み直すべきだと思うんですけどね。
by akoustam (2007-01-16 01:48) 

akoustam

>simainuさん
コメントありがとうございます。

有機ELも東北パイオニア、三洋とほとんどの日本メーカーが撤退してしまいましたから、Sonyが最後の砦なんですよね(エプソンはどこいった?)。FED/SEDも昔はもっとたくさんの会社が挑戦していましたが、今やCanonと双葉電子、Sonyぐらい…ほんと難しい技術なんでしょう。

韓国メーカーとかはまだ踏みとどまっていますから、ここで負けて日本のテレビ技術の地盤沈下につながらなければいいのですが。
by akoustam (2007-01-16 01:53) 

akoustam

>Virgoさん
コメントありがとうございます。

よく考えると、SEDはCEATECでもクローズドのブース内展示にとどまっていましたね。Sonyの有機ELのように外に置けなかったという段階で、本当は何か問題があったのかもしれません。

CESではついに展示さえ無かったわけですが…
by akoustam (2007-01-16 01:55) 

akoustam

>店員佐藤さん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

特許という制度は、企業が技術を公開してもこの制度で利益が守られるから、社内で隠さずどんどん公開して、いいものはみんなで共有しましょう(そのために特許を使用する側はちゃんと保有者に対価を払いなさい)という制度ですから、サブマリン特許とかならともかく、今回ばかりはCanonの失態と言わざるを得ませんね。

XEROX特許で苦労してから、Canonは日本でも最も特許に精通した企業になったはずなんですが。
by akoustam (2007-01-16 02:05) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2

この記事のトラックバックURL:
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
メッセージを送る