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次の有機EL [Sony・TV]

XEL-1がやってきて二週間が経ちました。

BRAVIA X2500を買ってまだ一年しか使ってないのに、今や動いているのはXEL-1ばかり。映像の深み・透明感・色の鮮やかさなど、解像度以外はどれをとっても液晶より有機ELのほうが上で、どんなソースを見ても「綺麗だなぁ」という感想しか出てきません。

野球のアジア予選も、バッターのヘルメットに反射する照明の表現が見事で、その臨場感は抜群!スポーツ中継も有機ELが良いという結論となりました(10秒に1回「オッケーイ」はどうかと思いましたが(^^;))。

その間、XEL-1にお客さんがどう反応するのか電器量販店で観察したりもしましたが、一度誰かが足をとめると、すぐに黒山の人だかりが出来て反応は上々のようです(画質よりもパネルの薄さに目がいってる人が多いのは残念)。

となると、皆さんの興味は当然「次はどうなるの?」という事になるでしょう。

僕はリビングに40インチBRAVIAを置き、XEL-1はデスクサイドでPC作業をしながら見るときに使うスタイルなので、11インチという画面サイズも全く気にならないのですが、普通の人は「11インチじゃ小さい」というのが偽らざる感想だと思います。

当然Sonyも27インチの試作品をそこかしこに参考出品し、“次は大画面化”であることを示唆していますが、これがすんなりうまく行って来年の年末商戦にでも発売になるかというと、正直まだまだ難しいのかなぁと予想しています。

それは何故か。

11インチと27インチ、この二つの間には画面サイズ以上の大きな隔たりがあって、製造方法からして全く違うものになるのです。

有機ELは何度もお話ししたとおり、発光する有機材料をガラスと透明電極で挟み込んだだけの、単純な構造をしていますが、このガラス基板の上に有機EL材料の膜を形成するのが大変な作業。XEL-1は「真空蒸着」という製法をとっており、真空空間で有機EL材料を加熱し、基板に付着させることで目的の厚さの膜を形成させます(“蒸着のプロセス”は、製造装置最大手でおそらくXEL-1用も手がけているであろうトッキの解説ページで。わずか0.05秒に過ぎないかどうかは…(笑))。

ならば製造装置のサイズを大きくして、27インチも蒸着でやってしまえばいいじゃん、と考えてしまいがちですが、開発チームの白石さんの話によると、蒸着で作れるのは11インチが限界。これより大きいサイズになると、均一に膜を形成するのが困難になってしまうのだそうです。

ましてSonyのSTE(Super Top Emission)は、RGB各色の光の波長にあわせて色ごとに有機ELの膜厚が違っており、27インチという面積にフルHDの200万画素(それが3色分で600万画素)分の有機ELを狙った厚さで蒸着させるとなると、想像するだけでも難しい作業だなとわかります。

ではあの27インチはどうやって作ったのか、実は製造方法は今年の春、有機EL大型化に向けた新技術として公に発表されています。

【SID 2007】ソニーの27型カラー有機ELテレビ、採用技術の詳細を明らかに(EETIMES JAPAN)

このLIPS(Laser Induced Pattern wise Sublimation)は、有機EL材料をドナー基板という元基板に形成し、裏側からレーザーを当てて本基板側に転写させるという製法です。

Sonyの話によると製膜法は色々と検討した上で、LIPSが「素子特性、歩留り、コスト面で優位性があり、有機ELの高画質を引き出すのに適する」という判断で採用したようですが、有機ELの第一人者として有名な城戸淳二山形大教授に言わせれば、「素子寿命の点で致命的欠点がある」らしいので、Sonyがどうやってその欠点を克服したのかは気になるところです。

城戸教授はどちらかというと「白色有機EL+カラーフィルタ」方式推進派で、そこらへんもSonyの白石さんに聞いたところ「白色も検討したがRGB各色発光のほうが高画質に出来る。」と言っていたので、SonyはSonyで自信があるのだと思われます。。

そしてEETIMESJAPANにも出てくるとおり、大型化にもう一つ問題となるのが駆動用トランジスタ素子の方式です。

XEL-1は開口率(光を通す面積)を稼ぐために、電子移動度が高く、素子が小さくて済む、低温ポリシリコンTFTが採用されていますが、この低温ポリシリコンTFTは、携帯電話などの小型液晶には駆動素子として使われていても、テレビなどの大型液晶では使われていません。それはやはり「TFT基板の大型化が難しい」から。

なので27インチでは、携帯電話用液晶に使われる低温ポリシリコンと、液晶テレビ用に使われるアモルファスシリコンの中間の特性を持つ、「微結晶シリコン」を新開発。これで大型化しながらも、安く、開口率の高い有機ELパネルを作れるというわけです。

というように、XEL-1とあの27インチ試作品は、同じ有機ELパネルでも全く違うプロセスを経て作られており、「XEL-1が成功したから次は27インチだ。」と一筋縄ではいかないのが実状です。

果たして皆さんの期待する大型有機ELはいつ登場するのか、庶民に手の届くような価格で出せるのか、所詮は一消費者でしかない僕にはわかりませんが、製造プロセスの変更、新工場かラインの完全新設など莫大な投資が必要と思われるので、個人的な予想としては「来年はちょっと難しい。仮に出せても27インチで100万円とかそういう世界?」になるような気がしています。

それでも11インチのXEL-1が評価されて、「有機ELにならお金を出しても良い」というコンセンサスが市場に出来上がれば、より発売は早まっていくのではないでしょうか。皆さんもXEL-1を店頭で見て、買いはしなくても、「有機ELにはお金を出す価値がある」と声をあげていって欲しいです。液晶やプラズマのような坂を転げ落ちるかのごとき価格下落に巻き込まれては、出せるものも出せなくなってしまいます。

未来のテレビが一日も早く手にはいるように…


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Riever

なるほど、有機ELは大型化が難しいといわれていたのは、製法から全く異なるからだったんですね。
液晶などの価格破壊に巻き込まれぬよう、そしてできるだけ早くフルHDモデルが出ることを祈るばかりです。もちろん、手に届く価格で。
by Riever (2007-12-08 15:52) 

そよかぜ

有機ELは業務用としての評価が実はかなり高いです。
宝飾品や「動く」高級品のイメージを全世界に均一のクオリティで
発信できるかもしれないから。そこに何か鍵があるのかも。
でも、いまの大きさでは話になりません。
さーどうする?壁一面のEL液晶で彼らが望む
擬似空間はつくれるのでしょうか?
ソニー。
by そよかぜ (2007-12-09 00:53) 

Sinn

はじめまして!
このところのSONY製品の弱体化で脱SONY党しかけていましたが、やっぱりSONYが良いですね・・・有機ELも然り。
最近ソフトバンクに乗り換えたのですが、(無くなって初めて思うのですが)歴代つかってきたソニエリ携帯がないのはやっぱり辛いです。
SBでソニエリ携帯は出ないんでしょうか?
by Sinn (2007-12-10 14:58) 

ショウヘイ

やはりいくら良くても価格な重要でしょう。
他社の同サイズと比較してMAX5万まででしょうか、だせても。
ちなみに先日買った40X5000(W)は初予算20万ぐらいでした。
37Z3500と37LH805がその予算内でしたが、画質と音質デザインでX5000にしました。
これがいくら良くても10万も開いたら買えないですよ。
BDレコーダーだって、15万くらいで買えるから人気になったのでしょう。
あんなけいらんと思っていたBDレコーダーがほしいこの頃です。
by ショウヘイ (2007-12-11 10:01) 

Santa

私はCEATECで展示をみましたが、その美しさとリアリティーにビックリしました。果物のみずみずしさやモデルの女性の肌の色まで…。今まさにそこにある、いるという感じでした。
画面サイズが大きく、価格も安くなってきたらとむねワクワクしています。
確かに11インチは小さいと感じますが、発色や鮮明さで本当に私もほしいというところです。
by Santa (2007-12-18 10:25) 

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