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想い出は遠くの日々 ~Blu-ray 秒速5センチメートル~ [買ったモノ]

僕のBlu-ray Discコレクションがまた一枚増えました。

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劇場アニメーション 「秒速5センチメートル」Blu-ray Disc

PCゲーム「イース」「ソーサリアン」で知られるFalcomで「イース完全版」のオープニングビジュアル等を担当し、その後自主制作アニメ「ほしのこえ」、劇場アニメ「雲のむこう、約束の場所」で数々の賞を受賞した新海誠監督の、劇場連作短編アニメです。

新海誠作品の特徴といえば、まさに「こだわり」と言うべき背景の描きこみと美しさ。SFチックだった前作・前々作と違い、現代日本の日常風景を描くこの作品でも、徹底したロケハンによる風景の再現には目を見張るものがあります。

例えば僕には馴染み深い小田急小田原線豪徳寺駅改札も、

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まるで写真のようなリアリティです(ものすごい瑣末なことに突っ込むと、このシーンが設定されている1995年の時点では、豪徳寺駅はまだ複々線化工事の真っ最中で、現代のこの姿にまではなっていないんですけどね(^^;))。

これだけの背景に加え、この作品は桜の花びらが大量に舞い散ったり粉雪が深々と降る、「MPEGいじめ」と言うべき場面が多数出てくるので、

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容量の少ないDVDに収録するのはかなり無理がありました。

それが今回Blu-ray Disc(MPEG-4/AVC・ビットレート30Mbps後半)になることでモスキートノイズなどの画面破綻が解消し、ようやく新海監督の意図通りの場面が再現されたと言えるでしょう。

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毎度のごとくこれらの写真は、XEL-1+PLAYSTATION 3の組み合わせで映し出しているものを撮影していますが、さすが有機EL、新海監督独特の色彩豊かな夜空や雲と光のコントラストが、幻想と現実をミックスしたような不思議な映像美を作り出しています。

ひとつ残念なのが、背景の力の入れように対しキャラクタなどのセル部分がいま一つなので、ちょっと画としてのバランスが悪く、浮いた感じなのがいただけません。

特にキャラの描き分けがどうも…

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貴樹と花苗が同じ顔にしか見えないっすよ監督(ちなみに奥が花苗で手前が貴樹)。

というわけで多少の難はありますが、この「秒速5センチメートル」を本当に楽しむのであれば、Blu-rayでの鑑賞しかありえません。言っちゃ何ですけど、今からあえてDVD版を買う価値は無いでしょう(限定DVD版にのみ同梱されるサントラCDが目当てならありかも。ていうかせっかく音楽が秀逸なんだからそういうあこぎな商売はやめて欲しい)。それぐらいこの映像にはパワーがありますし、この映像あってこそのストーリーだと思います。

 

さて、いつもならこうやって画質・音質面の話をして、作品の内容そのものには触れないままなのですが、秒速5センチメートルは内容もなかなかだったので、珍しくそっち方面の話もしてみましょう。

以下ネタバレ注意!

ストーリーそのものはきわめて簡単で、主人公の少年・遠野貴樹が小学生→中学生→高校生→社会人と成長していく中で、初恋の女の子との関係がどう変化していくのかを描いただけのものです。

impress AV watchのレビューにあるように、本来この手の恋愛モノには「物語を盛り上げるために身分や立場の違い、親の反対、恋敵など、様々な障害が用意される。」のが定石ですが、この作品は3話合計でも1時間ほどしかなく、さしたる盛り上げ要素もないまま、ただ淡々とありがちな日常と薄~い恋愛模様が続きます。

かといって「小学校時代の初恋の女の子をいつまでも忘れられず、ウジウジ引きずる男の日常。」と単純一言で切って捨てれる話なのかというと、僕はそうは感じませんでした。

主人公の貴樹は、ヒロインの明里「個人」を引きずっているのではなく、小学生のときに不用意な一言で好意を持っていた女の子を傷つけてしまった記憶と、中学生になってその子を守れるような大人になりたい、と強く願ったことが、自分自身の人生のハードルを大幅に引き上げてしまい、「こうありたい」という人生目標と、成長していく中で徐々に明らかになっていく現実の自分との「ギャップ」に苦しんでいるのではないか、だから花苗や水野さんなどの他の女性との距離も間違えてしまって、さらに苦しみを増やしてしまった、そういうふうに思うのです。

第三話で社会人になった貴樹のこの台詞

>「気づけば、日々弾力を失っていく心が、ひたすらつらかった。」

>「かつてあれほどまでに真剣で切実だった想いが、きれいに失われていることに僕は気づき。もう限界だと知ったとき、僕は会社を辞めた…」

僕が新海監督と同い年だからなのかもしれませんが、このへんの台詞には「ああ男ってこういう感じ方するものだよなぁ」と共感するところがありました。

男の子だから、子供の時だからこそ持てる純粋な「想い」。しかし理想を抱いた男の子も男になっていく道程で社会の現実を知り、「想い」を捨てなくてはいけない場面や、弱まっていく「想い」に悩むときがある。やっぱり男ってどこか無茶な理想を追い求めてしまう生物で、女性のように現実とうまく折り合いをつけていく器用さを持ち合わせていないものなのですよ。

この映画、劇場公開時は結構女性の観客が多かったそうですが、映画館に行かなかった方にも是非見てもらいたいです。たぶん「何この情けない男」と幻滅する女性もいらっしゃるでしょうが、男ってこういうもんなんです。どうか「情けない」とか言わずに、「しょうがない人だな」と微苦笑でこの作品を受け止めてくれると嬉しいです。

そして明里は明里で、ああ女性ってこうだよなぁと思わせる台詞がひとつ、

>「夕べ昔の夢を見た。私も彼も、まだ子供だった。」

ホントよくありがちな人生の現実がさらりと描かれている作品ですね。で最後に貴樹が微笑みながら一歩を踏み出すところに、「明日へ」というメッセージが見えてさわやかにまとまってます。

正直この設定とストーリーなら、何もアニメじゃなくても実写で十分作れるはずですが、新海監督の画を見てると、「やっぱりこの作品はアニメだからこそ」と思わせるものがありました。これが実写だとあまりに平凡すぎて映画としての抑揚が足りなくなり、絶妙のバランスでリアリティとファンタジーを融合させたこの画の力で、作品としての完成をみたと言っていいでしょう。

秒速5センチメートルを初めて見たとき、「ああ、あの子は今頃どこで何してるのかなぁ」と昔の女性を思い返したりしましたが、中学生のとき好きだった女の子(でもお付き合いとかすることもなく振られた人)と、今でも友達として年一度ぐらいのメールのやりとりがあり、昨年のコスタリカ旅行中に「今、生まれた~」と海を越えて携帯電話にメールが入ってきた僕は、ある意味幸せな人生を送っているのかもしれません。


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コメント 4

蔵三

最初の豪徳寺駅の改札のシーン…言われるまで
すっかり写真だと思ってました…スゴい!
by 蔵三 (2008-04-19 09:48) 

Riever

あとの障壁はフルHDだけですかね、この環境だと。

中身は…なかなか共感できますね。「無茶な理想を追い求めてしまう」とか、痛いほど分かります(笑)
たぶん、私がこの主人公を「情けない」と思ったら、それはすなわち自分を否定しているのと同じ気がしますね(爆)
by Riever (2008-04-19 11:59) 

Virgo

同じモノを買ってる人がここにいようとは・・・・もう1枚の約束の場所も買ってしまいましたが・・・私の場合(^^;;)


by Virgo (2008-04-23 22:18) 

kozy

WOWOWで放送してたような?今度録画してみます。
してなかったかな?(汗)
by kozy (2008-05-26 11:21) 

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