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VAIO X 開発者セミナー リポート コネクタ・基板篇 [VAIO X-treme]

ついに発表された超薄型VAIO“VAIO X”の開発者セミナーが、今回もおなじみ銀座ソニービル8F「OPUS」で開催されました。

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VAIO X シリーズ (vaio.sony.co.jp)

VAIO X シリーズ (SonyStyle)

で、毎度おなじみセミナーを紹介していただいている「みんぽす」さんのルールである注意事項をいれて、


このレビューは「みんぽす」の無償イベントに参加して書かれています。(詳細は末尾で)

肝心のVAIO X開発者の方々のお話に入っていくわけですけど、本日登壇されたのはこのお三方。

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スライドにあるとおり今回のVAIO Xの開発責任者は、過去VAIO SZ/VAIO ype G/VAIO type Zの開発を担当してきたVAIO事業本部 第一事業部の林薫氏。

この後、林氏による開発秘話を中心にセミナーは進んでいきますが、今日はこの方にスポットを当てていきます。

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VAIO Xを担当したデザイナー、森澤有人氏です。

僕にとって森澤氏と言えば、VAIO NOTE 505EXTREME/Walkman NW-S706F/Walkman NW-A808/Rolly SEP-10BTと、担当製品を多数購入してきたSonyで最も好きなデザイナー。VAIO Xも「なるほど森澤さんデザインだな」と思わせる、細かい配慮(というか美しさに対する恐ろしいまでの執念(笑))がなされているのは期待通りでした。

まず話は6年前に遡ります。

2003年12月、僕が今でも持っているVAIO NOTE 505 EXTERMEのプロダクトデザインから、パッケージ・周辺機器・壁紙・マニュアル類に至るまでトータルで担当していた森澤氏。当時のインタビューを見ても十分に製品の出来には満足されている様子がうかがえます。

しかしビジネスPCとしてどうしても許せなかった部分がありました。それがこれ、

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本体に内蔵できなかったためアダプタ式となった、LAN/VGAディスプレイ端子です。

これには責任者の林氏も同じ思いを共有していたようで、「ビジネスPCとしてアダプタ方式はありえない。VAIO Xがどんなに薄型であろうとも、今度こそこの二つの端子は本体につける。」というのは、VAIO Xの企画当初から決まっていたそうです。

しかしVAIO Xのボディ全体の厚さは、アイデア起草の段階から「13.9mmフルフラット」で行くとなっており、液晶部分の厚さを差し引くと、LAN端子のような規格で定められたサイズがあるものは、確実にボディの中に収まりません。そこで導入されたのが開閉式のLAN端子。

通常は蓋が閉じた状態になっていて、

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使用時に蓋を起こしてLAN端子になるというギミックです。

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これで厚さの問題は回避したものの、今度は「蓋が壊れやすい」という製品品質上の問題が出てきます。すぐに蓋のヒンジが折れたりするようでは、Sony製品としての信頼性を損ねるというわけです。

そこで開発陣がたどり着いた結論は全く逆の発想でした。

「蓋に強い力がかかったら、ヒンジが折れる前にポロッと外れるようにしてしまえばいい。」

つまりユーザーが「折れたのを直す」のは無理でも、「外れたのをはめ込む」ことなら出来るだろうということで、あえて少し弱めにヒンジが取り付けられた、この開閉式LAN端子の採用となったのです。

そして次にボディに収めなくてはいけないのがVGAディスプレイ端子。これもLAN端子と同じく規格で定められた大きさというものがあるため、勝手に薄型にしたりすることが出来ません。しかもLAN端子のように折りたたんだりすることも不可能なので、結局このVAIO Xのサイズに合わせた全く新しいVGA端子を開発することになります。

通常VGAディスプレイ端子には、受け側端子の剛性確保のために周囲に金属がはめ込まれていますが、この金属をはめ込むのではなく、薄い一枚板を端子の周囲に巻き付けるようにすることで、より薄型化された端子となっているのです。

そしてこの金属巻き付け式を採用したのにはもう一つ理由があって、従来のはめ込み式だと、最後に端子の樹脂部分と金属部分を圧着させるために、外から絞りを加えるのですが、そのために金属部分に微妙な“しわ”が出来てしまいます。

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手前が従来のVGA端子、奥がVAIO X用の新開発VGA端子。手前のほうは金属面に“しわ”が入っているのわかりますか?

森澤氏はこの“しわ”の存在も許せなかったそうで、「VGA端子が完全に露出して取り付けられる以上、これはボディと同じものだ。ボディが美しいフラット面になっているのに、一部分に“しわ”があるなんて美しくない。」ということで、この圧着作業を行わない巻き付け式の採用で、“しわ”のないVGA端子を作り上げたのです。

結果、VAIO Xはむき出しのVGA端子でありながら、ボディの面と端子の面が綺麗につながり、すっきりとしたデザインを見せています。

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このような森澤氏の「フラットな美しさ」に対する執念は随所に現れていて、電源ボタンもキーボードの右横に凹凸無しでキーボード面とフラットなカタチで埋め込まれています。

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デザイナーの飽くなき執念と、技術陣のたゆまない努力、それを支える周辺の部品メーカーの技術力、全ての力が合わさったことで、VAIO NOTE 505 EXTREMEの時はアダプタとして外にあったLAN/VGA端子は、6年の時間と共に本体に吸収され、しかも美しさも信頼性も損なわないという、今回のVAIO Xのプロダクトデザインに結実したのです。

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CAD上でも入った!(笑)

薄く・美しく・強くというVAIO Xのデザインコンセプトは基板にも現れています。

昨今のモバイルPCのメイン基板は、軽量化と小型化のためにプリント基板の両面に半導体チップを並べる「両面実装」が主流ですが、VAIO Xは薄さを優先するために、片面に半導体チップを載せる「片面実装」が採用されています。

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真ん中の基板がVAIO Xのメイン基板、左はtype Tのメイン基板です。大きさ比較用にN705iμを置いてますので、type Pのメイン基板と比べると、

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この写真ではメイン基板とminiPCIスロットを搭載した通信部が一体になってるので、左側の基板がtype Pのメイン基板になりますが、両面実装のためVAIO Xよりtype Pのほうが基板面積が小さいのがわかります。

同じCPU、同じサウスブリッジを採用したPCでも、設計思想によってこれだけ基板の構成が変わるんですね。VAIO Xの基板は薄く広く延ばされたようなイメージです。

で、これがボディに収まるとこうなります。

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手前右側にあるメイン基板の裏面は、一切半導体チップがない片面実装になっているのがおわかりいただけるでしょうか、これがあのVAIO Xの薄さにつながっていくわけです。

それにともなって冷却ファンも新開発。

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左がtype Tの冷却ファン、右がVAIO Xの冷却ファンです。この厚さで空気が流れるように出来るというのもすごい話ですが、これもファンメーカーの技術力のたまものですね。

メイン基板にはこのように取り付けられていて、

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これでCPU-AtomZとサウスブリッジ-US15Wの熱をファンまで持って行って、強制的に逃がしていく構造です。

当然読者の皆さんにも「type Pはファンレスだったんだから、VAIO Xもファンレスに出来たのでは?」という疑問もあると思います。しかしVAIO Xレベルまで薄いボディに基板を押し込めると、もはや筐体内に空気が流れるような隙間がなく、熱が滞留してしまうんだそうです。

熱伝導シートで拡散させる方法も採れなくはないんでしょうが、それだと廃熱が甘く、CPUが熱くなったときに処理能力を落とすスロットリング制御を入れざるをえず、PCとしての使い勝手に影響するので、やはりファンによるアクティブクーリングになったとのことでした。

type Pの一切モーター類がない「Perfect ZEROスピンドル」に魅力を感じている僕としては、ちと残念な結果ですが、やはり林氏の「どこまで突き詰めてもあくまで“普通に使えるPCである”ことは守る」という開発思想が、色濃く反映された結果の冷却ファン採用ということで納得しましょう。

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こういったあらゆる技術の集積でVAIO Xの美しさは成り立っているということで、さすがは毎度僕を魅了してやまない「森澤デザイン」をきっちり実現したプロダクトだと、改めて感心した次第です。

 

以上見てきましたとおり、VAIO Xは「極限まで薄く、極限まで美しく、強くて壊れないPCを作る。でもそのために何かをあきらめたりせず、あくまで“普通のノートPC”である。」という思想の元に作られており、コストのためにそこそこの作り込みしかしないネットブック VAIO Wや、軽く・小さいこと、気軽に開けるカジュアルさのために、多少PCとしてあきらめた部分もあるVAIO type Pとも違う、本当に「普通のPCを限界まで薄くしたもの」となっています。

そう言う意味ではビジネスなど「普通のPCが欲しい。でも軽くて小型なヤツじゃないと。」というユーザーこそ買うべき製品であり、「軽く・小さいPCが手元にあるから、ビジネスに限らず他の面白いことも出来るんじゃないか。」とユーザーに考えさせるtype Pとは、明白に棲み分け可能だと僕は思います。

ものすごくわかりにくい例えになるかもしれませんが、同じ筆記具で何かを記録していくのが目的の紙のノートでも、

VAIO Xは「綺麗に罫線のひかれたCampusノート」

VAIO type Pは「罫線すらひかれていないまっさらな落書き帳」

の違いというように感じました。同じAtom ZのモバイルPCで、VAIO Xとtype Pで迷っている人の中で、「PCで何をやるか決まっている人」はVAIO Xを買う方がオススメかもしれません。

次回はそのVAIO Xの企画がスタートしたときの話「誕生篇」をお送りする予定です。

 

 


このレビューはWillVii株式会社が運営する レビューサイト「みんぽす」から招待されたイベントに参加して書かれています。本イベントへの参加及びレビュー掲載は無報酬です。また、WillViiは掲載内容に一切関与していません(本情報開示と事実誤認時の修正を除く)。本イベントに参加された他の方のレビューはこちらのみんぽすTBセンターでご覧になれます。(WillVii株式会社みんぽす運営事務局)

みんぽす


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コメント 4

かつぽん

相変わらずの速い仕事と正確かつコッチの想像力もかき立てられるような
見事な文章・・・すばらしいですm(__)m
えーっとぉ、じゃあ俺はナニを書こうかな?(^^;;;
by かつぽん (2009-10-09 16:45) 

蔵三

自分もよく考えたら森澤さんのデザインされた製品よく買ってます。
それも…別に「森澤さんのデザインだから」買った訳では無く、
「欲しいモノを思わず買っていたら森澤さんのデザインだった」ので
あらためて森澤さんのスゴさを認識しました。

それにしても今回の「X」は、森澤さんも含め企画・開発された方の
なみなみならぬ執念を感じる製品に仕上がっていますね!

by 蔵三 (2009-10-10 00:14) 

Akihito(・。・)

凄い密度の基板ですね。
ちなみにMacBookAirはデザインこそ無駄が無いけれど、内部の基板は結構余分なとこがあるそうです。

Atomプロセッサなのでスペックを追い求めちゃ辛いでしょうけど、
紙とペンのように扱える。これはモバイルの追い求めてきた形かもしれません。



………あえて言うなら505を襲名すればよかったんじゃない?
by Akihito(・。・) (2009-10-10 09:32) 

mini

冷却ファンだけが残念ですね。
欲しいなぁ
by mini (2009-10-22 21:25) 

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