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VAIO Z 開発者セミナー リポート 設計・基板篇 [VAIO Z-Xtreme]

あれは今から丁度3年前。VAIOの定義が「VAIO=Visual Audio Intelligent Organizer」になり、VAIO SZがVAIO type Zへと進化した時でした。

銀座のソニービルにVAIO type Zを見に行った僕は、最後にこんな感想を残しています。

>このtypeZの13.1インチWXGA++ディスプレイ・19mmピッチキーボードというフォームファクタはそのままに、CPUを低電圧版Penryn専用設計にして放熱機構を小型化、光学ドライブレスによるゼロスピンドル化を行って、質量1Kg以下&本体の厚さ2/3以下を実現した専用筐体の 「typeZ Extreme」でも発売してくれたら、さらに借金してでも(笑)買うと思います。

良くもまぁ言いたい放題言ったもんですが(笑)、「13.1インチディスプレイと19mmピッチキーボードはそのままに、光学ドライブを外してゼロスピンドル化した“Z Extreme”」あの時僕が描いた夢は2011年8月、より強化された姿で本当に現実となってしまいました。

VAIO Zシリーズ (sony.jp/vaio)

VAIO Zシリーズ (SonyStore)

そんな僕の為に作られたかのような(笑)VAIO Z2の開発者セミナーが、品川のSony本社で開催されたので、そのリポート第一回をお送りします。

この第一回で注目するのは、ソニー株式会社 コンスーマープロダクツ&サービスグループ VAIO&Mobile事業本部 VAIO第1事業部 設計1部1課(相変わらず長い組織名だなぁ(笑))齊藤謙次氏です。

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齊藤氏はあの“3年前に出たVAIO type Z”の機構設計リーダーを勤めており、その後もVAIO Xの機構設計を担当されるなど、VAIO部隊の中でも薄くて強いVAIOを設計する第一人者と言って良い方で、今回のVAIO Z2でもその力はいかんなく発揮されています。

長野県安曇野市にあるソニー長野ビジネスセンター、通称「VAIOの里」の技術に支えられて、

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「最高のパフォーマンスと最高のモバイル性能を両立させた」VAIO Z2を実現するために行われたのは、以下の三つの戦いでした。

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■薄さとの戦い

今回のVAIO Z2は、コンセプトを固める段階で「17mm以下の薄さを実現する」という目標が定められており、実際に「16.65mmフラット」という超薄型ボディを達成したわけですが(17mmの根拠は熱設計上の限界から導き出されたらしい)、そのために最も活かされたのが2009年に発売された「13.9mmフラット」機、VAIO Xの経験でした。

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VAIO Z2には前述の齊藤氏だけでなく、デザイナーの森澤氏や、開発責任者(プログラムリーダー)の林氏などVAIO Xの開発メンバーが多数参加しており(林氏は部長になられたので、VAIOノート全体を見る立場としてVAIO Z2の設計にアドバイス)、VAIO Xで実践された「高密度片面実装基板」「薄型コネクタやジャック類の専用開発」といった手法が、VAIO Z2にもより発展した形で持ち込まれています。

おかげでVAIO Xユーザーだった僕にはなじみ深い「巻き付け式VGA端子」や

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「開閉式LAN端子」の姿を

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VAIO Z2でも見ることが出来ます。

またこれらの端子だけでなく、本体のDC電源端子やヘッドフォン端子も、新規に薄型のものが開発されているそうです(本体側面がHexa-Shellという斜め形状になっているため)。

そして「後からユーザーの手でメモリを増やせないなんて…」と物議を醸している、メインメモリ基板の専用設計ですが、もうこの薄さの中に収めるにはそれしか方法が無かったとのこと。

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この小さくて薄いメモリモジュールが、VAIO OWNER MADEのオーダー内容によって付け替えられて出荷される仕組みになっています。

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 ↑ メイン基板からメモリモジュールが外された状態。真ん中のICチップがない緑色のスペースにモジュールが載っかる。

となると当然、

「そこまで薄型化を追求するならメモリもオンボードにすれば良かったのでは?」

という疑問も湧きますが、オンボードだと4GB分までしか載っけるスペースが無く、「Zを名乗るPCとして4GBは無いだろう。8GBは絶対に搭載可能にする」ということで、メモリ基板の表裏両面にICチップを載せられる専用モジュール式が選ばれたとのことでした。

 

■熱との戦い

単純に薄型で軽いPCを作るのであれば、熱を出さない(=あまり処理能力が高くない)CPUや周辺チップを採用すればいいだけなのに、熱を出す通常電圧版CPUを採用して、同時にパフォーマンスも追求するのがVAIO Zの伝統です。

こうなると、必要なのは「より薄くて冷却性能の高いファン」の新規開発となってきます。

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今回VAIO Z2で採用されたのは、薄くて小型のファンを二つ付ける「デュアルファン」方式。VAIO type Z→VAIO Z1→VAIO Z2と進化する中で、ここまで小型で薄くなってきたというのがよく分かります。

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そしてこのデュアルファンの秘密は単に小さく薄くなっただけではありません。二つのファンの羽根の枚数が、一方が「37枚」もう一方が「41枚」と、素数(1とその数以外の整数では割り切れない数)同士の組み合わせになっているのです。

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こうすることによって、二つのファンが生み出す風が共鳴して発生するうなり騒音を低減し、それぞれが独立制御されることで、ファン音の発生そのものも最小限に抑制されているのです。

また、そのファンまでCPUやチップセットの熱を導く銅製のヒートパイプも小型化・薄型化していて、パームレストやキーボード付近(特に排熱システムがある本体向かって左側)に熱がこもらないよう、ボディ全体に空気の流れを生み出すために、ファンの底面部分だけでなく、キーボードの左右にスリットが開けてあったり、キーボードの中にも穴が開けてあって空気が効率よく流れるようになっています。

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なお、VAIO Z2は先代のVAIO Z1と違って、外部GPUが本体から外されPower Media Dockに移ったため、GPUの冷却はPower Media Dockの「第三のファン」で行うこととなり、これも縦置き時の底面側から吸気、上面側に排気という設計となっています。

 

■強度との戦い

薄くするのはいいのですが、薄くしてその分脆弱になっては意味がありません。当然壊れにくいという強度も求められます。 

VAIO Z2のボディは、液晶側天面とキーボード側底面の二面にカーボン、

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キーボード面とヒンジのエンド部にはアルミが採用されていて、

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これら「コ」の字型に加工された二つのパーツが合わさって一つの箱を形成することで、強固なボディを実現します。 

この基本構造を前提に、さらに設計を始める前からデザイン森澤氏と設計齊藤氏が話を行い、部長の林氏からの「VAIO Xを上回るガチガチのボディにしないと13.1インチには耐えられない」というアドバイスもあって、最初から「強い構造」というのが考えられた上で決まったデザインが、六角形形状「Hexa-Shell」です。

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この六角形は強度のために導き出されたデザインですが、それをモチーフにVAIO Z2にはあらゆる所に六角形がちりばめられていまして、上のボディパーツの写真にあるファンの吸気口、Power Media Dockスタンド、

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タッチパッドの表面パターン、

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様々なところで見かけることになります。

そして、ボディの強さを実現するために変わったのがバッテリの固定方法。

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今までモバイルVAIOのバッテリと言えば、ラッチで止まっていてすぐに外せるのが当たり前でしたが、VAIO Z2はシートバッテリによって、元のバッテリを外さなくてもバッテリの増設が出来るようになったため、バッテリ自体がボディの強化構造体となるよう、8本のネジでガッチリ留める方式となっています。

ここまで来たら、某Macのように完全な内蔵バッテリにしてしまえば、ボディ強度にも有利ですし、バッテリ容量も稼げるじゃないかと思うのですが、開発チームの中でもその意見のせめぎ合いはあったそうで、最終的に「やはりユーザーが自身で交換できるというのは譲れない」ということで、取り外し可能なバッテリが採用されたとのことです。

このバッテリを内蔵型とするかどうかは、開発側だけで判断できる問題ではなく、修理預かりの方法などVAIOの販売・アフターサービスのスキームに関わってくるものですから、今後どのように舵取りされていくのか注目したいところです。

こういった様々な仕掛けの結果、VAIO Z2は非常に強固なボディを得て、筐体の端っこをこのように持っても、たわみらしいたわみが見られないという丈夫さを実現しています。

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なお本体に比べ持ち歩かれる可能性が低く、そこまで頑丈じゃなくても良さそうなPower Media Dockですが、ボディにはカーボンモールド樹脂(樹脂素材に微細なカーボン繊維を混ぜたモノ)が起用され、本体同様の各種耐久試験をクリアしている、という念の入れようであることも付け加えておきましょう。

 

■Power Media Dock

そのPower Media Dock。本体との接続は電源とUSBプラグが一体化した専用コネクタで接続されるわけですが、

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この一見普通のUSBプラグに見える部分の下に、光ファイバー端子が増設されていて、

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本体側のUSB端子の奥にも光ファイバー端子が設けられているので、

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VAIO Z2とPower Media Dockの間が、光ファイバーによって接続されることになります。

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ここに使われているのが、Intelが以前から取り組んでいた、双方向10Gbpsで接続されるI/O規格「Light Peak Technology」。

それって同じLight Peakを使っている、Macの「Thunderbolt」と何が違うの?という話になりますが、このLight Peakは「デジタル信号を超高速で双方向伝送する物理的な部分の技術」なので、そこに何規格のデータを流すかは、使う側の自由となっていて、それこそUSBでも、イーサネットでも、PCI Expressでも、何でも光ファイバー化して伝送することが出来ます。

そこで光ファイバーは使わず銅線を利用して、PCI ExpressとDisplay Portの二つの信号をLight Peakでまとめて送るようにすることで、一本のケーブルでMacとHDDなどの外付け記憶装置、外部ディスプレイを、数珠つなぎで繋げるようにしたThunderboltに対し、VAIO Z2ではCPU(SandyBridge)と外部GPU(AMD Radeon HD 6650M)の間がPCI Expressで接続されることに着目し、そこの間をLight Peakで光ファイバー伝送させることで、CPUはVAIO本体に、外部GPUは外のドックに、というフォームファクターを実現させたのがPower Media Dockというわけです。

なので、VAIO Z2の基板には、SSD近傍にLight Peakの通信チップがあり(青の円内)、

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電気信号が光信号に変換されて(赤の円内)、本体右サイドのUSB3.0ポート下まで本体内を光ファイバーが走っています。

その本体内の光ファイバーがこれ、

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ここからPower Media Dockと本体を接続するケーブル内の光ファイバーに繋がって、信号がやりとりされるんですね。

ちょっと余談ですが、Power Media Dockを縦置きするための付属スタンドは、単純に立てるだけではなく、Dockを置く受け台がフローティング構造となっています。なのでこの黒い受けのパーツがクッションとなり、Dockを保護するのですが、そのフローティングバネの反発フィーリングにまでこだわって細かい調整が入っているそうで、よくそこまでやるなぁと思ってしまいます。

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■設計・基板篇のまとめ

以上設計・基板篇をお送りしてきましたが、型番・スペックだけ見ると「VAIO Z」なこの機種も、中の設計を見ると、まるで「Advanced VAIO X」と呼んでいいような、徹底した軽量化・薄型化技術が惜しみなく投入されています。

それはまさに

VAIO ZX “VAIO Z-Xtreme”

という僕が3年前に期待した通りの出来映え。

しかし大変な努力と苦労があったであろう開発チームの皆さんは、そんなことを一切感じさせず、楽しげに自らの製品を語り、いいモノを作ったという自信に満ちあふれた姿を見せてくれました。

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これなら後は安心して13日にモノが届くのを待つだけですね(まだ注文すら終わってませんが(笑))。

 でも、あの人は最後までやり切りたかっただろうなぁ…

 

次回はデザイン篇をお送りする予定です。

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Riever

Power Media Dockのスタンド、実は六角形だったんですね。実物を見に行ったにもかかわらず全く気づきませんでしたが、この辺りにもデザインコンセプトの表現が入っている辺り、流石です。
それと、ファンの羽数については知っていたものの・・・わざわざそれぞれを別制御しているところなんて、この辺りの開発は相当大変だったのかなとも思わせます。
by Riever (2011-07-28 22:47) 

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